ギャラリーK 美の起源展 江川慎一郎さんの作品を見て

美の起源 ギャラリーKにて
江川慎一郎さんの作品を見て



昨日、そうですね。昨日、仕事のあと、アート体験をするためにギャラリーK(新越谷)に行った。河口聖さんから招待を受けていてその展覧会を訪ねた。画廊に入ると出品者や関係者、お客さんがいて、そのワイワイやっている中、僕は絵を見ていた。しばらくしたら小パーティーが始まり挨拶が行われた。僕はビールで乾杯したのであった。

まず、最初に出くわした絵は江川慎一郎さんの絵なのか?何か、タイトルも無い。これはどう言う意味であろうか。その作品は鉄板のようであり、古い壁のような感じも受ける。あと数点は陶芸作品によくあるようなかすりのうな流れるような画面現象を表している。



この壁をどう見るか。それを江川さんは鑑賞者に呼びかけているように思えた。なんと言うか禅宗のようなそう言う思想を作るアートマターであることは言える。

タイトルがないのは、鑑賞者自身で考えなさいと言う江川さんからの提示であると思う。僕たちに考える時空を与えてくれているのだ。

それは親切なのか不親切なのか?

この思考を働かせるのが一種の目的でもあるだろう。そう言う問題提起であるし、この展覧会のタイトルが「美の起源」であることから原初の何かに戻れとの訴えであるかもしれない。

この壁とか錆びた鉄板は「わびさび」を表していることも言えるでしょう。枯山水とかそういう静寂を観じる。否応無しに考えさせると同時に瞑想的にしてくれる。そういうあなた方で考えなさいという自由さもある。そういう意味で親切であるかもしれない。

でも、アートは親切も不親切もないもないと思う。

なんらかの問題提起であることもあります。

この錆びた鉄板、のほかにほのかに自然にできたいような地面のような絵もある。

そもそも江川慎一郎さんの絵は絵なのか?そういう疑問も湧いてくる。

絵でないのか?でも、絵でないとしたら平面作品と言ってもいいのだろうか。そういうことも言える。

原初のこの絵は、もしくは平面作品は、自然とわびさびの精神の表出とともにそういう日本古来の茶の湯におけるまたは日本の精神が表れている「侘び寂び」滅びゆくがそれも美しい、枯れていくがそれもまた美しい、そのへんにある自然のありのままの現象、姿に美を感じ、それを捉えて表現する。そこに意味があるのではないだろうか。

茶の湯の精神として内向的になり、瞑想的にさせてくれるような静寂の美を感じた。

沈黙を感じた。

様々な雑念が江川慎一郎さんの絵を見て消えていくのようそんな不思議な感情を起こしては鎮める。ある意味、宇宙的な沈黙もあろう。

あと、タイトルがないので鑑賞者がなんらかの意味を見出さなければならない。そういう謎かけでもあり、問題提起であり、鑑賞者に対して思考を与えてくれる。

親切か

不親切か

と問われれば、親切かもしれない。

普通にリンゴ描いたり写実の絵を好きな人はおそらくだけど強く悩まれるだろう。この江川慎一郎さんの絵はそういう常識を超えて、新しい視点で世界を見ましょうということを作品を通して言っていることと思います。

われわれは毎日仕事に追われ、日々を生きている。家族のあるものは家庭の問題にも取り組まなければならない。それらは幸福なことであろう。孤独でなく毎日の家庭生活、仕事で楽しいでしょう。

そんな中、江川慎一郎さんは孤独である気がする。そこから美術を生み出す何か瞑想的なものがあると思う。普段の一般の生活者ではたどりつけない孤独な境地であるかもしれない。そういう人生を真摯に見つけていくと、美の起源に当たるのかもしれないと思います。

われわれ一般の人はそういう芸術家の作品見て、また別の世界観へと旅することも大事であろう。普段の生活では見えない世界を見ることも視点や世界観を、または人生の認識力を広げ、知ることも大事だと思う。

江川慎一郎さんの絵を見て、何かしら非現実的で特殊な世界、「侘び寂び」を感じ、静寂と沈黙を体験することも精神性を高める意味で大事であると思います。

そういう意味で、日々の仕事や家庭に一生懸命に生きている人の是非とも江川慎一郎さんの絵を見て欲しいと思います。なぜかと言うと沈黙を感じ、絵を見ている時に京都の龍安寺の石庭を見ているあの感じがするからです。

江川慎一郎さんの今回の作品は日本の美術の禅宗やそう言う感覚、それと沈黙の状態にさせて人生を考えさせると言うより一度、どの絵を見ると静まる。そして鑑賞者の内面にまで深く入り込む、そう言う効果があるのだ。

江川慎一郎さんの絵には日本美術の禅宗美術を私は感じたのです。

そう言う沈黙を体験させてくれた作品でした。






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