女流画家協会展 〜秘密の花園 ・すいとうとよ〜 作者・楠本恵子
女流画家協会展
~秘密の花園 ・すいとうとよ~
作者・楠本恵子
この絵は花だった。限りなく強く、安楽にさせてくれる強い黄金色の花だった。かのオランダ出身のあのゴッホのひまわり以来の衝撃の花に、この大きな花びらをたたえ強く輝く花は現代の私たちが見てきた花の絵の究極でもあろう。
私は、この絵にあの世を見た。極楽浄土、チベット、ヒマラヤにおける曼荼羅の世界を、見た。あらゆる分析的な造形構造をして、立体感を表出し、メタリックでもあり、かつてのパブロ・ピカソ、ジョルジュ・ブラックの造形表現の分析的キュビズムやイタリアで起こった芸術運動の未来派の絵画作品を思わせる、確信して、それらをやっていることを感じた。かなり知的な思考をして、フランシス・ピカビアのオルフェスム時代の絵を体得していることが見て明らかであることを知るのである。
この作品を描いたのは、楠本恵子さんである。タイトルが示すように桃源郷をイメージしたのであろう。
この絵は「~秘密の花園・すいとうとよ~」である。
東京都美術館で女流画家協会展にあの世の花を持ち込み、あの偉大な空間を一点、黄金色で輝かせたあの強烈な、鮮烈な光の色に、視覚の動きに目を楽しませ、あらゆる形からさまざまな、いろいろな形を浮かび上がらせるその粋なはからいの技と演出、私は10分ほどこの絵に対峙してさまざまな、いろいろな可能性を発見した。
この絵は多分、桃源郷ではないか?
もしくは、極楽浄土、
はたまたあの世では、と思った。
大きな花、意味深な青い花弁、淡い黄色、主張する黄色に深い、酔いを思い感じ、あらゆる疲れを刺激する劇薬のようで沈黙にさせる柔らかさ、美しい曲線、綺麗な画面の果ては丁寧な仕事を見る。
ウドニーの分析に動的であり静的、心揺さぶる視覚の思考と安楽感、極楽、ヒマラヤ、チベットの秘境を思わせる陶酔感、私は感ずるのである。
そうして、あるのはあの世か
ならば見よ、この花を
あなたに、安楽を与えよう
そは、知の光に
なが身を捧げ見たまえ
はるかなる遠くの彼方に
あなたは見るだろう永遠の花を
黄金色は見えるか
黄金色はあなた方を包み込み
かの、桃源郷にあなた方を導かん
日は落ちても
月が空にあっても
この黄金色は輝いている
あらゆる富の黄金は
人の心に色彩を放ち
精神の、魂の糧とならん
しからば、見よ、
この秘密の花園の景色を
黄金の花は無心に咲いて、時を静かに
時は動き、
時間さえも消えゆくような無限の沈黙
さあ、行け
さあ、行こう
あなたの秘密へ
かの、ヒマラヤの花を
秘境の世界へ行こうではないか
そこに、黄金色の花がある
あなたは知るだろう
花がもたらす悦楽を、
このように、この絵画を見て思ったことである。私の見た感想であります。絵はじっと見ないとわからない。カラスの行水ではまったくわからないだろう。少し前に、美術批評家の方に絵の見方を聞いた。その方曰く 絵をじっと見て絵の方から語りかけてくる。そして、絵と対峙して語り合いなさいと言われた。
そのように私は美術鑑賞を思考し、楽しんでいるのです。
様々な視点があっていいと思う。私の視点以外の視点もあり、絵画作品、美術は一点の作品がいろんな思考を呼び覚ましくれる。こういう思考はさまざまなところで使えるし、生活に根ざしたものだと思います。
この黄金色の花に何を思うもその可能性に、光を見出す。そういう私であった。この楠本恵子さんを絵を通して語りあったのである。
そうであったのだ。
より、光輝なる世界のどこかで
2022年6月13日
本多裕樹しるす
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