野生の思考展  宮塚春美 、 樋口慶子 、 斎藤 泉 、河口 聖、ギャラリーK 展評:本多裕樹

 野生の思考展 ギャラリーK  展評:本多裕樹 





野生の思考展

       野に生きること

ギャラリーK

2026年7月20日~8月1日まで


宮塚春美

樋口慶子

斎藤 泉

河口 聖




朝の暑い時間11時をきるころ、ギャラリーKの門は開かれる。ビルの最上階の画廊はわれわれに美の発見をもたらしてくれる。


今日は「野生の思考展」に挑むのであった。美に対する時は王侯のように接せよとある通り、真摯にならなくてはならない。まず、芳名帳に記帳し、ギャラリーのオーナーに一礼、、、。




1、樋口慶子の章 




この絵を長く眺め、見えてくるのは草花のよう彩りに香りをもたらす色彩のきめ細やかな線の感情の刻まれた思考を感じました。庭なのか?草原なのか?、、、野原であろう。一見、乱れ打ちのような線だがきめ細かいこの一言と生命力を感じる。白く明るい昼の野原に、ジャクソン・ポロックのアクションペイントを彷彿とさせる。それも、乱暴でなく美の原っぱの一瞬の風を覚える。


この作品を描いたのは樋口慶子女史であるという。


若手作家のようにフレッシュである。




 

これはこの展示のタイトルにふさわしい野生を表していると思う。アフリカの天然の野生をこの絵から動物の匂いを放っている。殴り書きのように見えるが、どことなくカノンに近づけようとしている心の機微と思考が伺われる。このキャンバスに画家の苦心と表現にアフリカの動物の世界が描かれている。真実の野生である。厳しいジャングルを、または草原やスコールを感じた。










      

   こちらは生、生きる現実そのものだ。血の予感、生命の感触を目でふれる。この絵にイスラームの砂漠の教えと血の現実を知る。生命感、肉感、手触りの目で触るような感触が迫ってくる。





 

   

左右一双で一体となり、迫ってくる力。一瞬、花のように見える。エナジーを表した抽象化された実相なのだろうが、雪の季節に花が爛漫と咲いてうなだれても咲き誇る図を形作っているよにも見える。こういう見方もまた生命の可能性を示唆しているあたり生命、野生の生きる思考になるのでありましょう。





2、宮塚春美の章





 

これは宮塚春美夫人の描かれた作品です。墨を使っておられるのか、一見、近代、モダーンなスタイルでセンスよく筆で運んでいく墨の痕跡が墨を導く、そして近代性は昭和な感じがする。





 

これも面白く、ロシア構成主義に近い構図の取り方と形の組み合わせ、これに和の構成がなされているのに、SFの絵に見える。ほとんどSFであり、ソビエトのアートなのであろう。現代にその精神を持ってくるのは稀有なことである。








  不思議な神秘主義もあるかもだが、今、SF好きな人が見れば、見る人が見ればわかる未来思考、近代に夢見た未来の図、










 

これもまた日本の雪舟のような筆のかすりや木の枝の表現、滝にも見え、奥に山岳が空気遠近法で薄くサラッと描く、この図一つで山水画を描いている。草の畑もあり、これも昭和な雰囲気を強く感じた。構成でさまざまな絵を組み替え、いろんな手の作品を構成すると同時に筆の運びにおける書道の技で筆跡が生きている。そこに野生の感覚と思考があるのだと思いました。



3、斎藤泉の章





 

人々はこの巨大なエモーションでやられてしまうのではないだろうか。壮大なスケール、かぎりなき何億光年のはるか遠い銀河を、また、海、宇宙の海を、、、。

エナジーの無限なまでの野生を凌ぐ壮大な根源、


これは銀河系、この赤色はアンドロメダ星雲の広がりと回転。









 

画面、近くにみると赤色の奥行きが深みまで塗り込まれている。物質としても、空気とも言える放射の赤と青、筆跡が溶けて空気のぼやけ星雲となる。



 


 





この花のオブジェ、輝く星雲の中に導く存在。
















 


この大宇宙の旅には溶接された船、彷徨いし船か?または星々を巡る古代の旅なのであろうか。想像力を膨らませてくる。


一斉に爆発した銀河の構図、それは宇宙と意図したものか、それとも地球の海と夕方か、そのどちらの想像もできる。


太陽も


銀河の中心の渦の光も


また、天地正応において同じことでありましょう。


永遠の旅をする船は色彩の海に帰結する。


そこに故郷を求めるのか、また未知の世界の旅であろうか。






















4、河口聖の章





 

月、この絵?、マテリアル?  もしくはタリスマン。神秘的な聖遺物のように厳かで、一瞬に沈黙の異世界に入る。







 



ただ沈黙と宇宙の果てにある空間、恐怖すら覚える威圧感がこの絵から存在をもたらす。

死の世界、これらの作品に対峙するにただただ言葉を失う。何も言えない。








 



それは宇宙の果てだから、何も無い世界で月が厳然と輝き放つ。ダンテの神曲のさらに続編の旅のごとく、












 



どことも言えない異世界で不思議な儀式が行われている。死後の世界で、そこは宇宙の外の生命の根源なる世界で行われる参入儀式、深淵の世界が展開される。沈黙の場所。



再生と誕生という死、そして何か別物へ上昇する儀式。



 




侘び寂びでもない、聖域。


世界の果て





 

野生の、古代の図像。生贄になる葉っぱは儀式によって上昇する。

われわれはこれらの作品を鑑賞し、どこにいくのであろうか。


どこにいくまでもなく、鑑賞者によってそれぞれ見る世界は違うのでありましょう。








5、終章



こうして美術探訪は終わった。

暑い日でありましたが、作品に対峙している時は集中し、目あたりした。


野生の思考展という展覧会は他にはあまりないのではないかと思う。広いスペースでありましたので大作で圧をなしていました。


まだ、会期もあると思います。



2026年8月1日まで開催しています。



画廊の中は異世界で彩られていました。


そのアート体験をぜひに












 

















 














 







2026年7月25日  展評  本多裕樹 記

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